<< 8/12 C82 | main | 10/8 Jガーデン33 >>

10/7 スパーク7(アンソロ寄稿)

 TBのとらうさアンソロ、「おじさんだって甘えたい!」に、「熱い背中」という掌編で参加させて頂きました。
 私自身はイベントに参加しておりませんが、久々にとても楽しくとらうさを書けて嬉しかったので、よろしければお手に取ってみてくださいませ!

☆折りたたみ記事に本文サンプルがあります。 (本文から抜粋)


「なんでですか。さっき食べたときはこんな味しなかった」
「んじゃ、もう一口。あーん」
「それ、やめてくださいよ」
 ふてくされながらも、二口、三口と続けて食べさせてもらった。間違いなく美味しい。虎徹にうながされるまま、全部平らげてしまった。
「どうして……味が違うんですか。なにか混ぜたんですか?」
「なーんも。混ぜたとしたら、俺のありあまる愛情かもな。って怒るなよ、マジで言ってんだって」
 ぎらっとした眼差しを受けて、虎徹が笑い出す。
「自分のためにしか作らない料理は、まあまずくはないけど、死ぬほどウマイわけじゃないよな。でも、誰かのためを想って作ってるなら、ちょっとぐらい調味料の量を間違っても愛情でカバーできるだろ」
「でも、これは僕が作った炒飯です。さっき自分で食べたときは全然美味しくなかった」
「俺がふーふーしてるの、見ただろ」
「見ました」
「どう思った?」
「恥ずかしいことをするひとだなと」
「それだよそれ。俺がおまえを想ってちょっとした手間をかけてる場面を見た瞬間に、おまえの中で、これはただの炒飯じゃなくなるんだ。俺がバニーをどれだけ好きで一緒にいたいって思ってるかが通じたから、炒飯が美味しく感じられたってことだ。大事なのは愛情だろ?」
「……また、そういうことをさらっと……」
 好きだとか一緒にいたいとか、どうしてこうも簡単に口にするのだろう。耳が熱くなるのを感じて身体を離そうとしたが、虎徹のほうが早かった。空いた皿をテーブルに戻してごろりとソファに寝そべり、バーナビーの膝に頭を乗せてくる。
「ちょっと! なんなんですか!」
「腹一杯だー。なぁバニー、耳かきしてくんね?」

(中略)

(本文から抜粋)


「なんでですか。さっき食べたときはこんな味しなかった」
「んじゃ、もう一口。あーん」
「それ、やめてくださいよ」
 ふてくされながらも、二口、三口と続けて食べさせてもらった。間違いなく美味しい。虎徹にうながされるまま、全部平らげてしまった。
「どうして……味が違うんですか。なにか混ぜたんですか?」
「なーんも。混ぜたとしたら、俺のありあまる愛情かもな。って怒るなよ、マジで言ってんだって」
 ぎらっとした眼差しを受けて、虎徹が笑い出す。
「自分のためにしか作らない料理は、まあまずくはないけど、死ぬほどウマイわけじゃないよな。でも、誰かのためを想って作ってるなら、ちょっとぐらい調味料の量を間違っても愛情でカバーできるだろ」
「でも、これは僕が作った炒飯です。さっき自分で食べたときは全然美味しくなかった」
「俺がふーふーしてるの、見ただろ」
「見ました」
「どう思った?」
「恥ずかしいことをするひとだなと」
「それだよそれ。俺がおまえを想ってちょっとした手間をかけてる場面を見た瞬間に、おまえの中で、これはただの炒飯じゃなくなるんだ。俺がバニーをどれだけ好きで一緒にいたいって思ってるかが通じたから、炒飯が美味しく感じられたってことだ。大事なのは愛情だろ?」
「……また、そういうことをさらっと……」
 好きだとか一緒にいたいとか、どうしてこうも簡単に口にするのだろう。耳が熱くなるのを感じて身体を離そうとしたが、虎徹のほうが早かった。空いた皿をテーブルに戻してごろりとソファに寝そべり、バーナビーの膝に頭を乗せてくる。
「ちょっと! なんなんですか!」
「腹一杯だー。なぁバニー、耳かきしてくんね?」